医療法人 庄医院 【内科・小児科・消化器科】

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 振り返れば、使い捨てのレインコートをかぶってはじまった当時の発熱外来は、その後格段に進化し、独立した室内にHEPAフィルター付きの陰圧ルームと大きな紫外線殺菌庫を設置し、診療所といえども、感染対策を徹底した診察ができるまでになりました。また、ワクチン接種についても、お手製のワクチンチケットを印刷して、手作業でしていた予約作業でしたが、その後はすべて予約システムへと移行し、ネットを通じで24時間、予約やキャンセルが、素早くできるようになりました。
 ですが、私たちがどれほど進化してもコロナの変異のスピードになかなか追い付けず、第7派、8派では、感染者数の激増とスタッフの相次ぐ欠勤や、コロナとインフルのダブルのワクチン接種までも重なり、当院でも医療崩壊が起き始めていました。鳴りっぱなしの電話を何度も取りながら、発熱の診療を断らざる負えないことも増え、時にはPCRの結果を電話しても繋がらない人もいて、スタッフと一緒に家を探して安否確認と結果報告に行ったこともありました。疲れ切った中で、みんな、いつかはコロナが終わる時が来る、そう信じて日々を頑張っていました。
 そんな中、知り合いの先生が急死されるという悲しい出来事がありました。主人が20年来、非常勤でお世話になっていた、とある診療所の先生が、前日までは元気にお仕事をされていたにも関わらず、翌朝、静かに息を引き取っておられたそうです。コロナ対応も次々と知恵を絞って頑張られていたことを知っていただけに、コロナが終われば、苦労話に花を咲かせて、みんなで、おいしい食卓も囲めたかと思うと、アフターコロナを見ることなく逝ってしまわれた先生の無念さはいかばかりであったろうと胸が締め付けられる思いでした。気がかりな患者様もおられたでしょうが、書きかけの書類も、冷蔵庫のワクチンさえも、先生と一緒に時が止まってしまいました。閉院されたのち、形見に処置台と血圧計をいただきました。それがあまりにもきれいで、先生が、よし、まだまだ頑張るぞと言っておられるように感じ、改めて今を生きている私たちには、この経験を後世に伝える義務があると強く感じました。  
 サージカルマスクにフェイスガード、防護服にアクリル板、入り口には体温計と消毒薬、いつか、コロナ禍のありとあらゆるものが風化したとしても、私たちの中には一生コロナ禍で奮闘した全ての事実がいつまでも色あせない思い出となって残るはずです。そして、つい最近では、発熱外来が急に緩和し、ふと数年前の診察風景のようにおだやかで、電話も少ない日がでてきました。間違いなく、これまでとは違う風が吹き始めているのを感じます。ようやく、アフターコロナが現実味を帯びてきた今、私が、アフターコロナに見る夢は、人として、高熱で苦しむ人にさっと素手を差し伸べて、そっと肩を貸してあげられるようなことが当たり前にできる世の中で、互いに白い歯を見せあって大笑いできる日常です。
 2023年2月現在、まだまだ5月8日以降のことは未知数ですが、希望にみちた新しい未来のはじまりになることを祈っています。

 注)掲載にあたり一部改訂

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